こんにちは。京都・滋賀エリアで家づくりのご相談を承っております、ナチュラルデザインの代表、合田です。
先日のブログでは、日銀の政策金利引き上げと住宅ローンへの影響についてお伝えしました。
「変動金利はどうなるの?」「固定に切り替えるべき?」というご関心をお持ちの方も多く、引き続き資金計画に関するテーマをお届けします。
今回は、その続きとして「繰り上げ返済」についてお話しします。
金利が上がりつつある今、繰り上げ返済の効果や仕組みを理解しておくことは、家づくりを進めるうえでも、すでに住宅ローンを組んでいる方にとっても、とても意味のある知識です。
「繰り上げ返済って、お金が余ったときにするもの?」「早くした方がいいの?」という疑問をお持ちの方も多いかと思います。
この記事では、5,000万円を借り入れた場合を具体例とし、繰り上げ返済の仕組み・種類・タイミングによる効果の違いを、できるだけわかりやすく整理してお伝えします。
制度との兼ね合いや注意点も合わせてご紹介しますので、読み終えた後に「なるほど、こういうことか」と感じていただけると幸いです。

そもそも「繰り上げ返済」とは何か?
繰り上げ返済とは、毎月の定期返済とは別に、まとまったお金を元金(借りた元本)に対して追加で返済することです。
住宅ローンの仕組みでは、毎月の返済額は「元金の一部+利息」で成り立っています。利息は毎月の残高(まだ返していない元金)に対してかかります。つまり、元金が早く減れば減るほど、その後の利息も少なくなるという仕組みです。
繰り上げ返済をすると、追加した金額がすべて「元金の返済」に充てられます。通常の返済では利息と一緒に少しずつ元金を減らしていくのに対し、繰り上げ返済では一気に元金を減らせるため、それ以降に発生する利息がぐっと抑えられます。この「元金を早く減らす効果」が、繰り上げ返済の最大のメリットです。
現在、変動金利は引き上げが続いています。元金に対する利息の割合が増えていけば、繰り上げ返済の効果もそれだけ大きくなっていきます。「金利が上がっている今だからこそ、この仕組みを知っておく意味がある」という視点でお読みいただけると、より実感が持てると思います。
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繰り上げ返済には2種類ある
繰り上げ返済の方法は、大きく2種類に分かれます。それぞれの特徴を理解したうえで、ご家庭の状況に合った選択をすることが大切です。
①期間短縮型
毎月の返済額はそのままで、返済期間を短くする方法です。元金を早く減らすことで、残りの返済回数が減ります。利息の軽減効果が大きく、一般的に「同じ繰り上げ額であれば、こちらの方が得になりやすい」とされています。定年までにローンを終わらせたい方や、早期完済を目標にしている方に向いています。
②返済額軽減型
返済期間はそのままで、毎月の返済額を減らす方法です。月々の家計の負担を軽くしたい場合に選ばれることが多い方法です。利息の軽減効果は期間短縮型より小さくなりますが、毎月の余裕が生まれるという点でメリットがあります。「今後大きな支出が見込まれる」「収入が一時的に減る可能性がある」というご家庭にも選ばれます。
どちらが正解かは一概には言えず、家計の状況や将来のライフプランによって異なります。「月々の返済に今後余裕が出そうか」「手元の資金をどの程度確保したいか」といった視点で選ぶとよいでしょう。

5,000万円を借りた場合の具体的なシミュレーション
ここからは、具体的な数字でイメージを持っていただくために、シミュレーションをご紹介します。
【前提条件】
- 借入金額:5,000万円
- 金利:1.0%(変動金利として仮定)
- 返済期間:35年(420ヶ月)
- 返済方式:元利均等返済
- 繰り上げ方式:期間短縮型

この条件での毎月の返済額は、約141,143円です。
35年間、繰り上げ返済なしで完済した場合の総利息は約928万円になります。借りた5,000万円に対して、約928万円分の利息を上乗せして返すことになります。この数字を最初に頭に入れておくと、繰り上げ返済がどれだけ意味を持つかがより鮮明に見えてきます。
5年後と10年後に同じ100万円を繰り上げ返済した場合
同じ「100万円」を繰り上げ返済するとして、タイミングが変わると効果はどう違うのかを比べてみます。
| 繰り上げタイミング | その時点の残高 | 期間短縮 | 利息軽減効果 |
| 5年後(60ヶ月目)に100万円 | 約4,388万円 | 9ヶ月短縮 | 約34.5万円の利息削減 |
| 10年後(120ヶ月目)に100万円 | 約3,745万円 | 9ヶ月短縮 | 約28.0万円の利息削減 |
同じ100万円を繰り上げ返済しても、5年後と10年後では利息の削減効果に約6.5万円の差が生まれます。
「同じ金額なのに、なぜ差が出るの?」と思われるかもしれません。
理由はシンプルで、繰り上げ返済をする時点の残高(元金)が多いほど、削り取れる将来の利息も多くなるからです。借り始めから間もない時期は残高が多いため、同じ金額を繰り上げても、その後に発生するはずだった利息をより多く省くことができます。

200万円を繰り上げた場合はどうなるか?
次に、繰り上げ返済額を200万円に増やした場合も確認してみましょう。
| 繰り上げタイミング | 期間短縮 | 利息軽減効果 |
| 5年後に200万円 | 18ヶ月短縮 | 約67.9万円の利息削減 |
| 10年後に200万円 | 18ヶ月短縮 | 約54.9万円の利息削減 |
200万円の繰り上げでも、5年後と10年後では利息の差が約13万円生まれます。
繰り上げ額が大きくなるほど、タイミングの差が影響する金額も大きくなる傾向があります。

「金利が上がると、繰り上げ返済の効果も変わる」という視点
補足として、金利水準ごとに繰り上げ返済の効果がどう変わるかも確認しておきましょう。
以下は「5年後に100万円繰り上げ(期間短縮型)」をした場合の利息軽減効果を、金利別に示したものです。
| 適用金利 | 毎月返済額 | 利息軽減効果(5年後・100万円) |
| 1.0% | 約141,143円 | 約34.5万円 |
| 1.5% | 約153,092円 | 約55.9万円 |
| 2.0% | 約165,631円 | 約80.6万円 |
| 2.5% | 約178,748円 | 約109.2万円 |
金利が高くなるほど、繰り上げ返済による利息軽減の恩恵は大きくなります。変動金利の引き上げが続いている現状では、「繰り上げ返済の効果がより大きくなる可能性がある局面に入ってきている」とも言えます。金利上昇が進むほど、早めに元金を減らしておくことの意味合いが増してきます。

※上記シミュレーションはあくまでも試算です。実際の返済額や軽減効果は、金融機関の計算方法・ローンの条件・適用金利などによって異なります。ご自身の条件で必ずシミュレーションをご確認ください。
繰り上げ返済をするうえで知っておきたいこと
繰り上げ返済には利息軽減という大きなメリットがありますが、一方で確認しておきたい大切な点もいくつかあります。「とにかく早く返せばいい」とはならない理由を、しっかり整理しておきましょう。
手元の資金をある程度残しておくことが大前提
繰り上げ返済の最大の注意点は、手元の現金を十分に残しておくことです。
まとまったお金が手元に入ったとき、すぐに全額を繰り上げ返済に充てたくなる気持ちはよくわかります。
ただし、住宅は建てた後にもメンテナンスや修繕の費用がかかります。また、子どもの教育費、車の買い替え、急な病気や失業など、想定外の出費はどのご家庭でも起こり得ます。
「生活費の6ヶ月〜1年分程度は手元に残す」というのが、資金計画の目安として挙げられることが多いですが、ご家族の状況や収入の安定性によっても適正な額は変わります。繰り上げ返済をすることで手元資金が不安になるようであれば、少額から始めるか、タイミングを見直すことも大切な判断です。繰り上げ返済は「できる範囲で、無理なく」が基本です。

住宅ローン控除との兼ね合いも確認を
住宅ローンを組んでいる方は、「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)」という税制優遇制度を利用できる場合があります。これは年末のローン残高に対して一定の控除率(現行制度では原則0.7%)を掛けた金額が、所得税から差し引かれる制度です。
繰り上げ返済をして残高が減ると、その分だけ控除額が小さくなる可能性があります。ローン残高が多い時期に繰り上げ返済をすると、控除で受け取れる金額も相応に減ります。
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なお、住宅ローン控除については、2026年1月以降の入居分より制度が見直され、適用期限が2030年12月31日まで5年間延長されています(令和8年度税制改正)。省エネ性能の高い住宅(長期優良住宅・ZEH水準省エネ住宅など)は最長13年間の控除が受けられる仕組みが継続しています。制度の詳細(借入限度額・控除率・適用期間など)は住宅の種類や入居時期によって異なるため、最新情報は国税庁や国土交通省の公式サイトでご確認ください。
控除が適用されている期間中は、「繰り上げ返済で節約できる利息」と「控除で受け取れる金額の減少分」を比べて判断することが重要です。一概に「早いほど得」とは言い切れない場合もあります。控除の適用期間終了後に繰り上げ返済を検討されるご家庭も多く、ご自身の条件に合わせて税理士やファイナンシャルプランナーへの相談も活用してみてください。
金融機関によって「手数料」が発生する場合がある
繰り上げ返済を行う際には、金融機関によって手数料がかかる場合があります。
一部繰り上げ返済については、インターネット経由での手続きであれば、多くの金融機関で無料となっています。メガバンクや大手地方銀行もインターネット手続きでは無料のところが増えています。
ただし、地方銀行や信用金庫・信用組合の一部では窓口での手続きのみとなるケースがあり、その場合は5,000円〜3万円程度の手数料が発生することもあります。
手数料が高い場合は、繰り上げ返済による利息軽減効果と差し引いて考える必要があります。まずはご利用の金融機関の規定をご確認いただくことをおすすめします。

この記事のまとめ
今回の記事のポイントを整理します。
- 繰り上げ返済とは、元金に対して追加返済をすることで、その後に発生する利息を減らす仕組みです。
- 方法は「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類があり、利息の削減効果が高いのは一般的に期間短縮型です。
- 5,000万円・金利1.0%・35年返済を前提とした試算では、同じ100万円の繰り上げ返済でも、5年後と10年後では約6.5万円の利息差が生まれます。
- 繰り上げ返済は早いほど残高が多い分、削れる利息も大きくなる傾向があります。
- 金利が上昇する局面では、繰り上げ返済の効果はさらに大きくなる可能性があります。
- 一方で、手元資金の確保・住宅ローン控除との兼ね合い・金融機関の手数料なども事前に確認が必要です。
- 「早ければ必ず正解」ではなく、家計全体のバランスと将来の支出を見ながら判断することが大切です。
繰り上げ返済は「知っているかどうか」で将来の利息負担が大きく変わる可能性がある選択肢です。金利が動きつつある今だからこそ、一度ご自身のローン状況と照らし合わせて確認してみてください。
ナチュラルデザインでは、家づくりの資金計画だけでなく、「住んでからの返済のことも含めて、総合的に一緒に考える」スタンスを大切にしています。繰り上げ返済のことも含めた資金相談は個別にお受けしていますので、気になる方はお気軽にご連絡ください。
※本記事は2026年6月末日時点の情報をもとに作成しています。住宅ローン控除の条件・控除率・制度内容は変更される場合があります。最新情報は国税庁・金融機関・住宅金融支援機構などの公式サイトでご確認ください。本記事のシミュレーション数値は試算であり、実際の返済額や効果はローンの条件・金融機関の計算方法・適用金利などによって異なります。
引用元・参照元
- 国税庁「住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1210.htm
- 国土交通省「住宅ローン減税(令和8年度改正)」 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000017.html
- 住宅金融支援機構「繰り上げ返済シミュレーション」
https://simulation.jhf.go.jp/payoff/index.php - 住宅金融支援機構「最新の金利情報:フラット35」 https://www.simulation.jhf.go.jp/flat35/kinri/index.php/rates/top
- モゲチェック「日銀追加利上げで住宅ローンはいつ上がる?2026年の変動金利予想を解説(2026.6.16アップデート)」 https://mogecheck.jp/articles/show/pnl6ZzOV4BDR2k5Ra7PY
- ダイヤモンド不動産研究所「住宅ローンの繰り上げ返済手数料を17銀行で徹底比較」 https://diamond-fudosan.jp/articles/-/104969
よくある質問(FAQ)
Q1. 繰り上げ返済は、いくらから始められますか?
A. 金融機関によって最低繰り上げ返済額は異なりますが、多くの場合1万円以上から受け付けており、インターネット手続きで対応できる金融機関が増えています。ただし金融機関によっては最低額の定めがある場合もあります。「大きなまとまった額でなければ意味がない」ということはなく、少額でも積み重ねることで効果が出ます。まずはご利用の金融機関にご確認ください。
Q2. 期間短縮型と返済額軽減型、どちらを選ぶべきですか?
A. 利息の削減効果が大きいのは一般的に期間短縮型です。ただし、今後の生活費に不安がある場合や収入の変動が予想される場合は、毎月の返済額が減る「返済額軽減型」も合理的な選択です。「ここ数年で教育費や住宅のメンテナンスなど大きな出費がありそう」というご家庭では、毎月の余裕を確保する観点から返済額軽減型が選ばれることもあります。どちらが正解かはご家族の状況によって変わります。
Q3. 住宅ローン控除の期間中に繰り上げ返済をするのは損ですか?
A. 必ずしも損とは言えませんが、考慮が必要です。住宅ローン控除は、2026年以降の入居分については2030年12月31日まで延長されており、省エネ性能の高い住宅は最長13年間・原則0.7%の控除が継続されています。控除が適用されている間は、残高が減ると控除額も小さくなるため、「繰り上げ返済で節約できる利息」と「減少する控除額」を比べた判断が必要です。控除期間終了後に繰り上げ返済を検討される方も多くいます。詳細はご自身の条件に応じて税理士やFP(ファイナンシャルプランナー)にご相談いただくことをおすすめします。
Q4. 変動金利が今後さらに上がった場合、繰り上げ返済の効果は変わりますか?
A. はい、変わります。金利が高くなるほど残高に対してかかる利息が増えるため、繰り上げ返済による元金削減の効果も大きくなります。今回の記事で示したとおり、金利1.0%での利息軽減効果が約34.5万円(5年後・100万円の繰り上げ)であるのに対し、金利2.0%では約80.6万円と、2倍以上の差があります。金利上昇局面では、早めに元金を減らしておくことの意義が高まる傾向があります。ただし、手元資金の確保とのバランスが前提です。
Q5. 繰り上げ返済をする際に、手数料はかかりますか?
A. 金融機関によって異なります。インターネット経由での一部繰り上げ返済であれば、多くの金融機関で無料となっています。一方、地方銀行や信用金庫・信用組合の一部では窓口手続きのみとなる場合があり、5,000円〜3万円程度の手数料が発生することもあります。手数料がかかる場合は、繰り上げ返済による利息軽減効果と差し引いて考える必要があります。まずはご利用の金融機関にご確認ください。
ナチュラルデザインの施工エリアについて
ナチュラルデザインでは、京都市・亀岡市・南丹市・向日市・長岡京市・宇治市・八幡市・城陽市・大山崎町・久御山町(京都エリア)および大津市・草津市(滋賀エリア)を中心に、家づくりのご相談を承っております。
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ご相談・お問い合わせについて
家づくりの資金計画は、住宅ローンを組む段階だけで終わりではありません。返済中の繰り上げ返済や、将来のメンテナンス費用の見通し、子どもの教育費との兼ね合いなど、長い目で見た家計のバランスを考えることが大切です。
ナチュラルデザインでは、「住んでから安心して暮らし続けるための資金計画」を一緒に考えることを大切にしています。家づくりを検討中の方から、資金のことで迷っている方まで、個別のご相談をお気軽にどうぞ。まずは話を聞いてみたい、という段階でもお声がけください。
