こんにちは。ナチュラルデザインのコーディネート担当・科田です。
先日、お打ち合わせ中のご夫婦から
「独立した和室までは要らないけれど、畳の感触はやっぱり手放せなくて…」
というお声をいただきました。
実は、京都市や亀岡市で家づくりを進める方からも、
同じ揺れ動きをよく耳にします。
畳の上でゴロンと横になる気持ちよさ、
お子さまのお昼寝、洗濯物をたたむ作業——
日々の場面を思い浮かべるほど、
「和室の代わりになる何か」が欲しくなるのですよね。
今日は、客間ではなく”日常のくつろぎ”として
畳を捉え直したときに見えてくる「畳コーナー」の魅力と、
人気の小上がりに潜む見落としがちなポイントを、
現場目線で整理してお届けします。

この記事でわかること
- 畳コーナーが日常のくつろぎを広げる理由がわかります
- 小上がりとフラット畳の違いを比較で整理できます
- 採用前に確認したい盲点と判断軸が手に入ります
- 京都の気候になじむ畳素材の選び方がわかります
- 自分たちに必要な畳量を考える視点が持てます
【データで見る】和室なしが約50%——畳が「客間」から「日常」へ変わった理由
ひと昔前まで、和室は「来客のための部屋」
という位置づけが一般的でした。
お仏壇を置いたり、親戚の宿泊に備えたり、
改まった用途のための一室です。
ところが、住環境研究所の調査では、
新築住宅における「和室・畳コーナーなし」の割合は、
2018年度の28.0%から2022年度には49.7%へと拡大しています。
畳表の国内供給量も1996年の3,831万枚から、
2023年には745万枚まで減少しました。
数字の上では、和室は確かに減っています。
それでも京都市・長岡京市・宇治市でお打ち合わせをする
ご夫婦から「畳の感触は手放せない」というお声が絶えないのは、
和室の役割が「客間」から「日常のくつろぎ」へと
静かに移り変わっているからだと感じています。
「客間のために一部屋」なのか、
「日々のくつろぎのために畳一画」なのか。
同じ畳でも、目的が違えば設計はまったく変わります。
日常の使用頻度から逆算して考えると、
後者の発想が今の暮らしに合うご家族が増えているのは
自然な流れだといえます。

子育て期の毎日が変わる——LDK畳コーナーで得られる3つの実感
① 子育て期の”床生活”がぐっとラクになる
小さなお子さまがいるご家庭では、
床に座る・寝転ぶ・遊ぶ時間が想像以上に長くなります。
フローリングだとプレイマットが必要になりますが、
畳コーナーがあればその一画がそのまま遊び場であり、
お昼寝スペースにもなります。
おむつ替えや授乳のときも、
畳の柔らかさは膝にも背中にもやさしい。
「リビングで遊ばせていても目が届く距離に畳がある」
という安心感は、毎日の余裕につながります。

② “ちょい家事”の作業台として頼りになる
洗濯物をたたむ、アイロンをかける、季節物を仕分ける——
こうした床作業は、フローリングよりも畳の方が
体への負担が軽くなります。
ふくらはぎや膝が痛くなりにくく、
長時間座っていても疲れにくいためです。
「ダイニングテーブルでたたむと
食事のたびに片付けないといけない」というお悩みは、
畳コーナーがあるだけで解消することがあります。
LDKの一角に”家事の踊り場”があるイメージですね。

③ 来客時の”もう一部屋”として機能する
独立した和室を持たなくても、
畳コーナーがあれば急なお客さまにも対応できます。
座って話す場としても、
ご両親が泊まりに来られたときの寝床としても活用できます。
「和室は欲しいけれど、使わない部屋を持つのはもったいない」——
そんな迷いに対して、畳コーナーは”ちょうどいい答え”になり得ます。
採用前に知っておきたい——人気の「小上がり」3つの落とし穴と回避策
ここからが今日の本題です。
畳コーナーを検討するご夫婦のほとんどが、
最初に「小上がり」を希望されます。
床から30〜40cmほど上げた畳のスペースは、
見た目にメリハリが出て、ベンチのように腰掛けることもでき、
下を引き出し収納にもできる——たしかに魅力的です。
ただ、現場経験のなかでは、
採用前と採用後で印象が変わりやすい設備のひとつが小上がりです。
段差・収納・空間の連続性という三つの観点で、
暮らしてから気づくケースが少なくありません。

盲点①:段差は”便利”であり”障害”でもある
小上がりの段差は、若いうちは何でもない高さです。
けれど、お子さまが歩き始めの時期には
つまずきの原因になりますし、
ご年配の方が泊まりに来られたときには
立ち座りの負担になります。
掃除機をかけるときも、段差の角や側面はホコリがたまりやすく
注意が必要です。多くのロボット掃除機は段差2cm前後までしか
乗り越えられず、30cm以上ある小上がりは別エリアとして
掃除計画を立てる必要があります。
<回避策>
将来のバリアフリー化を見据え、段差を15〜20cmに抑える、
もしくはスロープ併用型を検討する設計が考えられます。

盲点②:下部収納は”奥が使えない”ことがある
小上がりの下を収納にするプランは人気ですが、
引き出しの奥行きが深すぎると、
奥のものが取り出しにくくなります。
さらに、引き出すための前方の通路幅を確保できないと、
せっかくの収納が十分に活かせません。
<回避策>
「収納量」ではなく「何をしまうか」を先に決め、
シーズン物・来客用布団など出し入れ頻度の低いものに
用途を絞ることをおすすめします。
盲点③:LDKの”広がり”を遮ることがある
小上がりは視覚的にゾーンを分けてくれる反面、
空間の連続性を断ち切ってしまう側面もあります。
とくにLDKがコンパクトな場合、
段差があることで圧迫感が生まれ、
実際の広さ以上に狭く感じることがあります。
京都市内のように敷地条件が限られるエリアでは、
慎重に検討したいポイントです。
<回避策>
LDKが20畳未満の場合は、
フラット畳との比較検討を一度行うといいかと思います。

一目でわかる比較表——小上がりとフラット畳、わが家に合うのはどっち?
迷ったときの判断材料として、両者の違いを整理しておきます。
| 比較項目 | 小上がり畳 | フラット畳コーナー |
| 空間の見え方 | メリハリが出る | 広がりを保てる |
| 腰掛け利用 | ベンチ代わりになる | 床座りが基本 |
| 収納の確保 | 下部収納が可能 | 別途収納計画が必要 |
| 掃除のしやすさ | 段差まわりに注意 | 続きの床と一体で楽 |
| 将来の使い勝手 | 段差が負担になる場合あり | 年齢を問わず使いやすい |
| 子どもの安全性 | 落下に配慮が必要 | 段差リスクが少ない |
どちらが正解、という話ではありません。
ご家族の年齢構成、暮らし方、LDKの広さ、
そして「何のために畳を採用したいのか」によって、答えは変わります。
京都の気候で選ぶ畳素材——い草・和紙・樹脂、わが家に合うのは?
畳コーナーを検討するとき、
サイズや段差に意識が向きがちですが、
畳そのものの素材選びも暮らし心地を左右します。
畳表には大きく分けて、
い草・和紙・樹脂(ポリプロピレン)の3種類があり、
それぞれ手触り・耐久性・お手入れのしやすさが異なります。
| 種類 | 手触り | 耐久性 | お手入れ | 向いている暮らし |
| い草 | 香りがよく自然な感触 | 5〜10年で表替え目安 | 乾拭き中心、湿気に注意 | 自然素材を好む方 |
| 和紙 | さらりとして軽い | 10年以上長持ちしやすい | 水拭き対応のものも | 子育て世帯・ペット世帯 |
| 樹脂 | 硬めでフラット | キズ・色褪せに強い | 水拭きしやすい | 共働きで掃除を簡単に |
京都市内のように夏は蒸し暑く、冬は底冷えする気候では、
湿気のこもりにくさも判断材料のひとつになります。
最近のお打ち合わせでは、
和紙畳をご検討されるご家族が増えてきました。
見た目は従来の畳に近く、
それでいて日々のお掃除がフローリング感覚に近づくためです。

2畳で足りる?6畳必要?——用途別に見る「ちょうどいい畳の広さ」
もうひとつお伝えしたいのが、畳の広さについてです。
「最低でも4畳半は欲しい」というイメージを
お持ちの方が多いのですが、日常のくつろぎ用途であれば、
2〜3畳でも十分機能することがあります。
逆に、来客就寝も想定するなら4.5〜6畳が目安です。
シングル布団のサイズから逆算すると、
大人がゆったり眠るには6畳が安心、
最低でも4.5畳は確保したいところです。
ご夫婦で「畳のある暮らしで、いちばんやりたいことは何だろう?」
と話してみると、優先順位が見えてきます。
お昼寝なのか、家事スペースなのか、客間なのか。
それがはっきりすれば、小上がりかフラットか、
何畳必要か、収納はどうするか——すべての判断がつながっていきます。
【結論】家づくりで畳コーナーを成功させる、大切なこと
畳コーナーは、客間としてではなく、
日々のくつろぎや家事のための”もう一段ゆるい床”として
捉え直すと、暮らしへの効果が高まります。
小上がりは見た目の魅力に対し、
段差・収納・空間の連続性に注意点があるため、
目的に応じた選択が大切です。
- 畳の用途を「日常か来客か」で切り分けて考えるため
- 小上がりの段差は便利と不便が表裏一体のため
- フラット畳は将来の暮らしにも柔軟に対応できるから
正解はひとつではなく、ご家族ごとに最適解が変わるテーマです。
迷いを「判断」に変えるために——
注文住宅の打ち合わせでは、
選択肢の多さに迷ってしまうことが本当によくあります。
畳コーナーひとつをとっても、
小上がりかフラットか、広さは何畳か、素材は何にするか——
考えるべきことは想像以上に多いものです。
「ネットで調べるほど分からなくなる」——
これは、ナチュラルデザインで家づくりを進める
ご家族様からよくいただく言葉です。
だからこそ、誰かと一緒に考えを整理する時間を持つことが、
後悔しない家づくりへの近道だと感じています。
ナチュラルデザインでは、
家づくりの基礎から判断基準までをお伝えする
「家づくり勉強会」や、
設計の意図を実物で確認できる
「完成見学会」をご用意しています。
畳コーナーのような”小さく見えて大きな選択”についても、
ご家族様の暮らしに合わせて一緒に考えていけます。
お気軽にお問い合わせください。

<ナチュラルデザインの施工エリア>
家づくりは、完成して終わりではありません。ナチュラルデザインでは、ご入居されてからの日々の暮らしも末長くサポートさせていただくために、「定期的なアフター点検や、万が一の困りごとにもすぐにお伺いできる距離」を大切にしています。
そのため、事務所から車で1時間圏内を主な施工エリアとさせていただいております。ただ建物を造るだけでなく、地域に根ざした身近なパートナーとして、ご家族の思い出や住まいの成長をすぐそばで見守らせていただきたいという想いからです。
【京都市を中心とした施工対応エリア】
■京都府エリア‥京都市全域、亀岡市、南丹市、向日市、長岡京市、宇治市、八幡市、城陽市、大山崎町、久御山町
■滋賀県エリア‥大津市、草津市
※上記のエリア以外で建築をお考えの方は、直接お問い合わせくださいませ。ご希望の建築地や状況により対応可能な場合もございますので、まずはお気軽にご相談いただけますと幸いです。
A. 住環境研究所の調査によると、新築住宅における「和室・畳コーナーなし」の割合は、2018年度の28.0%から2022年度には49.7%へと拡大しており、約半数の住まいで和室が設けられない傾向にあります。
A. 主な盲点は3点あります。1点目は段差が幼児のつまずきやロボット掃除機の障害になること、2点目は下部収納の奥が使いにくくなること、3点目はLDKがコンパクトな場合に段差による圧迫感が生まれ、狭く感じることです。
A. 収納量を重視するのではなく「何をしまうか」をあらかじめ決めておくことです。シーズン物や来客用の布団など、出し入れの頻度が低いものに用途を絞って計画することをおすすめします。
A. 湿気のこもりにくさやお手入れのしやすさから、和紙畳を選ぶご家族が増えています。さらりとした手触りで10年以上長持ちしやすく、水拭き対応のものもあるため、現代の暮らしに適しています。
A. 日常のお昼寝や家事スペースとしてのくつろぎ用途であれば、2〜3畳でも十分機能します。一方で、ご両親などが泊まる来客用の就寝スペースとしても想定する場合は、最低でも4.5畳から6畳の広さが目安となります。
