こんにちは。
ナチュラルデザインでインテリアコーディネーターを務めております、科田と申します。
「明るい白い家に憧れて土地を購入したのに、
役所で『この外壁の色は使えません』と言われてしまった」
このようなお話を、実はこれまでに何度かお聞きしたことがあります。
土地探しでは、価格や広さ、駅からの距離といった条件に目が向きがちですが、
京都市やその周辺地域では、購入後に外壁の色が使えないと告げられ、
設計変更や追加費用が発生するケースが実際に起きています。
その原因が「景観条例」です。

この記事でわかること
• 景観条例とは何か、京都で厳しい背景がわかる
• 外壁や屋根に使える色の具体的な数値基準を知れる
• 土地購入前に確認すべき5項目が明確になる
• 違反した場合の金銭的リスクと手続きがわかる
• 制限内で理想の外観を叶える4つの工夫を学べる
土地を買ってから後悔しないために、
景観条例の基本から実務での注意点まで、丁寧に解説していきます。
「知らなかった」では済まされない|京都の景観条例が土地購入後のあなたを縛る理由
景観条例とは、地域の街並みや歴史的な景観を守るために、
建物の高さ、色、デザインなどを制限する条例のことです。
全国の自治体で導入されていますが、
特に京都市は古都としての景観保全に力を入れており、
他の地域と比べても厳しい規制が設けられています。
京都市では、2007年に「新景観政策」が施行され、
市内全域が何らかの景観規制の対象となりました。
つまり、京都市内で家を建てる場合、
どのエリアであっても景観条例を意識する必要があるということです。
なぜこれほど厳しいのでしょうか?
京都市が公表した「令和6(2024)年 京都観光総合調査」によると、
京都市の観光客数は年間約5,600万人に達しています
(出典:令和6年京都観光総合調査/京都市情報館)。
その理由の一つが、歴史的な街並みや自然と調和した美しい景観です。
もし派手な色や高い建物が無秩序に建てられてしまうと、京都らしさが失われてしまいます。
景観条例は、一見すると個人の自由を制限するように感じられるかもしれません。
けれども、地域全体の価値を守り、
将来にわたって住みやすい環境を維持するための大切な仕組みでもあります。
ナチュラルデザインも、この考え方に共感し、
規制の範囲内でできる限りお客様の理想を叶える設計を心がけています。
2018年の一部緩和措置について
新景観政策は施行から19年が経過しましたが、
2018年には「過度に厳しい」というご意見を受け、
一部地区で高さ制限や色彩基準の緩和が行われました。
ただし、市内中心部や歴史的地区では依然として厳格な基準が維持されています。

あなたの「白い家」が却下される|京都市の色彩基準を数値で理解する
「白い家」と聞くと、明るくて清潔感があり、
どんなインテリアにも合わせやすいイメージがあります。
実際、住宅カタログやSNSでも人気のスタイルですよね。
けれども、京都市内の多くのエリアでは、真っ白な外壁を使用できないことが多々あります。
地区別の色彩基準
京都市の景観条例では、建物の外壁や屋根に使用できる色が
「色相」「明度」「彩度」という3つの要素で細かく規定されています。
主な地区の基準は以下の通りです。
| 地区名 | 外壁の基準 | 屋根の基準 |
| 歴史的景観保全修景地区 | 明度4以上8以下、彩度2以下 | 明度4以下、彩度2以下 |
| 美観地区 | 明度5以上、彩度4以下 | 明度4以下、彩度4以下 |
| 美観形成地区 | 明度6以上、彩度4以下 | 彩度4以下 |
少し専門的に感じられるかもしれませんが、
簡単に言うと「明るすぎず、鮮やかすぎない、落ち着いた色」ということです。
真っ白な外壁は、明度が9~10と非常に高いため、多くの地区でこの基準を超えてしまいます。
そのため、白系の色を使いたい場合は、
①塗り壁にする(塗り壁の白色は制限の対象外になります)。
②ベージュやグレーがかったオフホワイトやアイボリー(明度7~8程度)の外壁を選ぶ。
といった方法が主になります。
※上記は代表的な地区の一例です。
実際の基準は地区や用途によって異なりますので、
必ず京都市の窓口または景観規制図でご確認ください。

屋根の色にも厳格な制限がございます
外壁だけでなく、屋根の色にも制限があります。
多くの地区で「彩度4以下」、歴史的地区では「明度4以下、彩度2以下」
という基準が設けられており、派手な赤や青、緑などは使用できません。
一般的には、黒や濃いグレー、茶系の落ち着いた色が選ばれることが多いです。
ガルバリウム鋼板を使用する場合も、色の選択肢は限られます。
ナチュラルデザインでは、
屋根の標準仕様としてガルバリウム鋼板を採用しておりますが、
景観条例に適合する色を事前にしっかりと確認したうえでご提案しています。
土地契約前の5分間チェック|後悔しないための景観条例確認リスト
土地を購入してから「こんなはずじゃなかった」とならないために、
事前に確認しておいていただきたいポイントを整理しました。
1. その土地がどの景観地区に該当するか
京都市内は、エリアごとに景観地区が分かれており、それぞれ異なる規制が設けられています。
購入を検討している土地がどの地区に該当するかは、
京都市の都市計画課や各区役所の窓口、
またはインターネットで公開されている、京都市の景観規制図で
確認することができます。
2. 外壁と屋根に使える色の数値範囲
地区が確認できたら、次にその地区で使える色の基準を調べます。
マンセル表色系の色見本帳と照らし合わせながら、
ご希望の色が使えるかどうかを確認しておくことが大切です。
ナチュラルデザインでは、
土地探しの段階からこの確認作業をお客様と一緒に行っています。
建築の視点を含めた土地情報を整理することが、
後悔しない家づくりの第一歩だと考えているからです。
3. 建物の高さ制限と階数の可能性
景観条例では、色だけでなく建物の高さも制限されています。
京都市内では、多くのエリアで10メートル、12メートル、15メートルといった高さ制限が設けられており、ご希望の階数が実現できない場合もあります。
4. 広告物や看板の制限
店舗併用住宅や事務所を兼ねた住宅を計画している場合、
看板や広告物にも規制がかかることがあります。
色やサイズ、設置場所などが細かく定められているため、
事業計画にも影響する可能性があります。
5. 近隣の建物の実例を観察してみる
役所の資料だけでは、実際の雰囲気がつかみにくいこともあります。
候補地の周辺を実際に歩いてみて、どんな色やデザインの家が建っているかを観察してみることをおすすめします。
これにより、その地区で「許可されやすい外観」のイメージが具体的につかめます。

工事やり直し+50万円の罰金?|景観条例違反の実際のコストを知る
「少しくらい違反しても大丈夫では?」と思われるかもしれませんが、
景観条例に違反した場合、さまざまなリスクがございます。
是正指導と工事のやり直し
建築確認申請を提出する前に、
景観条例に適合しているかどうかの事前協議が必須の地域があります。
そして、この段階で不適合と判断されると、設計の変更が必要になります。
もし協議を経ずに建築してしまった場合、
完了検査の段階で指摘を受け、外壁や屋根の塗り直しを求められることがあります。
これには追加で80万円~150万円の費用と、1~2ヶ月の工期延長が発生し、お引っ越しの予定にも大きく影響してしまいます。
罰則の段階と具体的な金額
京都市景観条例第73条に基づき、違反に対しては以下の段階的な措置が取られます。
- 勧告(行政指導)
- 氏名・違反内容の公表
- 改善命令
- 命令違反の場合、50万円以下の罰金
悪質な違反と判断された場合、最終的に50万円以下の罰金が科される可能性があります。
実際に罰則が適用されるケースは多くありませんが、
指導や勧告の段階で適切に対応していくことが大切です。
資産価値への影響
景観条例に違反した建物は、将来売却する際に買い手がつきにくくなる可能性があります。
適法性が確認できない物件は、住宅ローンの審査でも不利になることがあります。
ナチュラルデザインでは、建築確認申請の前に必ず景観条例の事前協議を行い、適法な状態で工事を進めています。

制限があっても諦めない|景観条例内で「好きな外観」を実現する4つの工夫
景観条例があるからといって、理想の外観を諦める必要はありません。
制限の中でも、工夫次第で満足度の高いデザインは十分に実現できます。
1. 色のトーンを少しずらしてみる
真っ白(明度9~10)が使えなくても、
オフホワイトやライトベージュ(明度7~8)を選ぶことで、
明るく清潔感のある印象は十分に保てます。
実際、落ち着いたトーンの方が、
経年変化でも汚れが目立ちにくく、
メンテナンス性も高いというメリットがあります。
打ち合わせの際には、色見本を実際にご覧いただきながら、
「この色なら使えますよ」とお伝えすると、ほっとされる方が多いです。
2. 素材の質感で差をつける
色だけでなく、素材の質感や凹凸でデザイン性を高める方法があります。
ナチュラルデザインでは、
標準仕様としてサイディングを採用しておりますが、
オプションでジョリパットなどの塗り壁にも対応しています。
同じ色でも、素材が変わると印象は驚くほど変わります。

3. 窓の配置やバランスで個性を出す
外壁の色が控えめでも、
窓の配置や大きさ、サッシの色などでデザインに変化をつけることができます。
ナチュラルデザインでは、
高性能樹脂窓「YKK AP APW330」を標準採用しており、
景観に配慮しながらも断熱性能をしっかりと確保した設計を行っています。
4. 植栽や外構で雰囲気をつくる
建物だけでなく、お庭や外構の計画も外観の印象を大きく左右します。
植栽や門柱、アプローチのデザインで、
京都らしい落ち着いた雰囲気を演出することもできます。
緑の配置や石材の選び方ひとつで、建物全体の印象がぐっと引き立ちます。

【まとめ】土地購入前に景観条例を確認すれば、想定外のコストと後悔を防げる
景観条例は、土地を購入してから知ると大きな制約に感じられますが、
事前に把握しておけば、設計の段階で最適なご提案を受けることができます。
規制があるからこそ、京都らしい美しい街並みが守られ、資産価値の維持にもつながっています。
• 土地契約前に景観地区と色彩基準(明度・彩度の数値)を確認する
• ご希望の外観が実現可能かを建築会社と事前に相談する
• 制限の中でも、色のトーン・素材・窓配置・外構の工夫で理想に近づける
制限があるからこそ、京都らしい美しい街並みが守られ、資産価値の維持にもつながっています。

ナチュラルデザインの施工エリアについて
ナチュラルデザインでは、京都市を中心に、亀岡市、南丹市、向日市、長岡京市、宇治市、八幡市、城陽市、大山崎町、久御山町を主な施工エリアとしております。事務所から車で1時間圏内をエリアとすることで、暮らしの中で何かあった時も迅速に対応できる体制を整えています。
土地探しから設計、建築、そしてアフターメンテナンスまで、一貫してサポートできる体制がございます。景観条例に関する疑問や、土地購入前のご相談も承っておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。「建てて終わり」ではなく、住まいの成長を一緒に見守れるような、地域に根ざしたパートナーでありたいと考えています。
※上記エリア以外につきましては、弊社担当までご確認ください。
【注意事項・免責事項】
本記事に記載されている景観条例に関する情報(色彩基準の数値、地区名称、罰則規定、費用等)は、2026年2月時点で当社が把握している内容に基づいて作成しております。
景観条例の基準は、地区・用途・時期によって異なる場合があり、
また改正や運用変更が行われる可能性がございます。
実際に土地購入や建築計画を進められる際には、
必ず以下の方法で最新の正確な情報をご確認ください。
• 京都市都市計画局景観政策課への直接のお問い合わせ
• 各区役所まちづくり推進課での確認
• 京都市公式サイト「京都市情報館」の景観政策ページ
• 京都市景観規制マップでの該当地の詳細確認
本記事の情報を元にした判断や行動により生じた損害について、
当社は一切の責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。
ご不明な点やご相談がございましたら、
ナチュラルデザインまでお気軽にお問い合わせください。
お客様の家づくりを、正確な情報に基づいて丁寧にサポートいたします。
