こんにちは、Natural Designのゾウシです。
今回公表された「令和8年度税制改正大綱」で、住宅ローン減税は次の方向性が示されました。
制度の“狙い”は、性能の高い住まい(省エネ性能が高い住宅・既存住宅の活用)を後押ししつつ、家計の負担感を和らげることにあります。
注意:税制の最終確定は法案成立後。大綱は方向性宣言であり「確定=法律成立」とは異なるので、あくまで目安となります。
まず結論だけ、冒頭で完結にまとめます。
住宅ローン減税は、適用期限が令和12年12月31日まで(5年)延長される方針です。
控除率0.7%の枠組みも維持され、住宅の性能区分ごとに借入限度額と控除期間が整理されています。

令和8年度与党税制改正大綱/自由民主党HPより
若者・子育て世帯の場合*¹

令和8年度与党税制改正大綱/自由民主党HPより
*¹:特例対象個人とは、個人で、年齢 40歳未満であって配得者を有する者、年齢40歳以上であって年齢40歳未満の配用者を有する者又は年齢19歳未満の扶養親族を有する者をいう。
用語の解説
長期優良住宅…「長く良い状態で住み継ぐための“総合点”の認定」です。耐震・劣化対策・省エネ・維持管理の計画まで含めて要件があり、住戸面積も原則75㎡以上、かつどこか1フロアが40㎡以上といった条件があります(自治体事情で調整される場合あり、下限55㎡)。さらに維持保全計画に沿って点検・補修を行い、記録を残すことが前提です。
認定低炭素住宅…「エネルギーの使い方(低炭素化)に寄せた認定」で、一次エネルギーを省エネ基準から20%以上削減し、再生可能エネルギー利用設備の設置などが要件として示されています(戸建は創エネを含めた条件もあり)。
ZEH水準省エネ住宅…「省エネ性能が高いことを“等級”で証明する区分」で、税制上は断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上が要件として整理されています。
省エネ基準適合住宅…認定住宅やZEH水準に比べ、省エネ性能のハードルが一段低い区分です。今の基準としては安心ライン。ただし上位に比べると快適性などの伸びしろは小さいというものです。
加えて、性能の高い中古住宅をより後押しする設計(控除期間13年の対象拡大等)と、床面積40㎡特例の既存住宅への拡充が示されました。
ここからは、金融の話が苦手な方でも迷いにくいように、工務店の現場目線で「どう読み解けばいいか」を整理します。
■そもそも住宅ローン減税は、どうやって“戻る”制度?
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ざっくり言うと、年末時点の住宅ローン残高に対して、0.7%分を税金から差し引ける制度です(ただし上限あり)。
ここで大事なのは、「現金が一律でもらえる制度」ではない点です。
まず所得税から差し引き、引ききれなかった分は住民税から一部差し引ける仕組みですが、住民税側には上限があります(課税総所得金額等の5%、最高9.75万円の範囲内)。
つまり、同じ借入額でも、家計の状況(所得税額など)によって実際のメリットは変わります。
ここが、ネットの「いくら戻る」だけが一人歩きしやすいポイントです。
■今回の改正大綱で、何が変わるのか
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今回の大綱は、細かい表が多いのですが、注文住宅で迷いやすい点は次の3つに絞れます。
1)延長はされた。けれど「性能で差がつく」設計がより明確に
令和8年から令和12年(2026〜2030)に入居した場合の枠として、認定住宅・ZEH水準・省エネ基準適合で、借入限度額と控除期間が整理されています。
新築等は原則13年、その他(増改築等を含む)は10年など、区分も明記されています。
2)中古(既存住宅)の“高性能”をより後押しする方向がはっきりした
大綱の説明部分で、既存住宅のうち省エネ性能の高い住宅を後押しするために、借入限度額の引上げや、控除期間13年の対象拡大などが述べられています。
3)都市部のコンパクト住宅にも配慮。ただし所得条件に注意
床面積40㎡以上50㎡未満でも適用できる特例を使える方向性が示されました。
ただし、控除期間のうち「合計所得金額が1,000万円を超える年」は適用しない、という条件が明記されています。
京都市内など、敷地条件が厳しくなりがちなエリアでは、この40㎡特例が資金計画の安心材料になる一方で、所得条件は見落としやすいので、早めに確認しておくのが安全です。
■いちばん間違えやすいポイント「借入上限が下がった?上がった?」
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結論から言うと、「誰にとっても一律に下がる」ではありません。
住宅の性能区分と、子育て・若者夫婦世帯等(大綱の“特例対象個人”)に当てはまるかで変わります。
ここで大切なのは、借入限度額は「控除計算に使える上限」であって、「その金額まで借りるべき」という意味ではないことです。
家づくりでは、建物性能・土地条件・将来の家計変動まで含めて“無理のない借入”を決める方が、結果的に満足度が高くなります。
■2028年以降に家づくりを考える人が、もう一つだけ知っておくこと
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大綱では、令和10年(2028年)1月1日以後に建築確認を受ける住宅のうち、一定のZEH水準省エネ基準を満たさないものは、住宅ローン減税の対象外とする旨が記載(特例の対象となる子育て、若者夫婦世帯)されています。
つまり、これからの家づくりは減税を最大限に享受できるタイミング、そして基本となる住宅性能が重要になります。
また、安全・安心の観点から、災害危険区域等(いわゆる災害レッドゾーン等)での新築は、一定の場合に対象外となる旨も示されています(例外条件も記載あり)。
土地探しの段階で必ず確認したいポイントです。
■Natural Designとして、制度をどう扱うか
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私たちがこの大綱を読んで感じるのは、「性能の高い住まいを選ぶ人を後押しする」という方向性がより強くなった、ということです。
ただし、住宅ローン減税は“税金の仕組み”なので、
・入居年はいつか
・住宅の性能区分はどこに当たるか
・床面積は条件を満たすか
・所得税から控除しきれるか(住民税の上限に当たらないか)
こういった状況によって結果が変わります。
私たちは高性能住宅をこれからも変わることなく提案させていただき、「制度のために家を決める」ではなく、「暮らしの理想と家計の現実を整理した上で、制度を取りこぼさずに使う」というスタンスを一貫してまいります。
■まとめ
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今回の大綱では、住宅ローン減税の5年延長(令和12年12月31日まで)、控除率0.7%、性能区分による整理、既存住宅の高性能化支援、40㎡特例の拡充、2028年以降の適用条件の明確化などが示されました。
不安が大きいときほど、やることはシンプルです。
自分たちの「入居時期」と「目指す住宅性能」を先に決め、そこに制度を当てはめる。
この順番で考えると、制度に振り回されにくくなります。
Natural Designでは随時、住まいの基本を学べる『家づくり勉強会』を実施しています。
今回のブログでご興味を持たれた方は、ぜひ一度ご連絡ください。お待ちしております!


